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生活設計と成年後見制度(講義録)

平成25年6月19日(水),山梨県生涯学習推進センターにおいて,自主講座講師としておこなった講演の講義録です。
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         老後の基礎知識 〜終活としての成年後見制度〜

第1 子供が独立した後の人生後半期の生活設計

1やり残したことへの取り組み(趣味・新しい生活目標)
2身体能力減退に対する備え(健康管理・生活支援)
3精神的能力減退に対する備え(財産防衛・契約事務支援)
4次世代への財産等の継承(遺言・相続)

第2 エンディングノートの活用(生活設計の素案)
過去を振り返り,今後のことに思いをはせる

1半生を振り返る
2今後の生活を有意義なものにする
3介護・終末医療・臓器提供などに対する希望
4財産目録の作成
5遺言の作成
6葬儀・墓地・供養についての希望 

第3 遺言書の利用
財産分与,財産分与割合を決めた思い,自分の亡き後についての家族への希望

1自筆証書遺言
2公正証書遺言
3秘密証書遺言
4緊急時遺言(死亡の危急,伝染病隔離,在船・船舶遭難)

第4 成年後見制度の利用
成年後見制度の概要(コスモス成年後見サポートセンターのパンフレット参照)

 法定後見制度と任意後見制度に区分されている

1 法定後見制度:家庭裁判所の審判事項

(1)判断能力の程度により3類型(判断が難しいときには鑑定)

 ア 後見 事理弁識能力を欠く常況
 イ 保佐 事理を弁識能力が著しく不十分であるとき
 ウ 補助 事理を弁識する能力が不十分であるとき


(2)法定後見を受けることによる社会生活上の不利益
 成年被後見人,被保佐人,被補助人の類型によって違います。以下に例示してみます。
 被補助人については制限はありません。

(3)成年被後見人のみの制限については以下のようなものがあります。

ア 選挙権・被選挙権の喪失(公職選挙法11条)は今改正で削除
 成年後見人が付いた人に選挙権を認める改正公職選挙法は27日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。夏の参院選から成年後見人が付いた全国の約13万6400人に投票の道が開かれることになった。
 被保佐人,被補助人は選挙権,被選挙権ともにあります。

イ 印鑑登録ができなくなります。
 被保佐人に,被補助人は影響を受けません。

(4)成年被後見人・被保佐人が制限されるものは以下のようなものです。
ア 株式会社の取締役,監査役,執行役の地位を喪失
イ 一般社団法人の理事・監事及び一般財団法人の評議員の地位を喪失
ウ 公務員の資格の喪失
エ 国家資格などの喪失
   行政書士,弁護士,司法書士。医師,薬剤師。建築士。公認会計士,税理士。
オ 事業開始における不許認可の条件
   建設業,旅行業,警備業

(5)成年後見人,保佐人,補助人の資格の喪失
 法令による制限はありませんが,実質上は家庭裁判所の介入によって制限されています。
ア 選任にあたっては家庭裁判所の職権によって選任。
イ 解任については関係者・検察官の請求により職権によって解任。
 改正前の平成11年法律149号の民法では欠格事由とされていました。

(6)任意後見契約による任意後見を受ける場合にはこうした制限,不利益はありません。

2 任意後見制度:公正証書による任意後見契約
(1)契約内容により3類型に区分
 ア 即効型
  契約締結後,直ちに任意後見監督人選任審判の申立てをおこなう
   契約時の本人の意思能力が問題となることがあるので要注意

 イ 将来型
  契約締結後判断能力が衰えてきたときに任意後見監督人選任審判申立て
   契約から契約発効までに通常長期の空白時間があるため諸事情が発生
    委任者と受任者の関係悪化,疎遠

 ウ 移行型
  本人の財産管理をおこなう事務委任契約と任意後見契約を二本立てで契約

  認知症などによる判断能力の低下が発生するまでの間は事務委任契約(委任契 約・委任代理契約など)により本人の財産管理ををおこなう。そして,本人の  判断能力が低下した時点で任意後見監督人審判を申し立てることにより,任意後 見契約に切り替える。

(2)任意後見契約の濫用
 ア 任意後見契約締結時
 財産管理の主導権を握ろうともくろみ,判断能力が減退した高齢者と任意後見契約を結び包括的な権限を授権する。

 イ 移行型の委任後見契約発効時
 任意後見監督人の監視を嫌い裁判所に任意後見監督人選任審判の申立てをせずに本来任意後見契約に切り替えるべきであるのに事務委任契約のまま事務を遂行する弊害が指摘されている。

3 申立てから審判までの所要期間
 (1)法定後見の審判
  一般的に2ヶ月は必要。申立ての準備から審判まででは数ヶ月は必要。

 (2)任意後見監督人選任審判
  通常2ヶ月は必要。

  いずれの制度を利用するとしてもかなりの日数を要するので早めの準備

4 人生後半の生活設計と任意後見制度
(1)任意後見は法定後見に優先
 成年後見制度の理念的に任意後見制度が中心となっている。任意後見契約の登録がなされている場合には法定後見がおこなわれていても,また法定後見が申し立てられても家庭裁判所は原則として任意後見契約を優先して法定後見を取消し,あるいは法定後見開始の審判をすることはできない。

(2)自己決定権の尊重の理念
ア 自己の受けるべき支援の内容は自分で決定する
支援の内容(委任の項目)は相手方との契約で決定する。

イ 後見支援者も自分の信頼できる人間を自分で決定する
法定後見では家庭裁判所が後見支援者を本人の意向も考慮はするが最終的には職権で決定する。時には,本人の意に染まない者が後見支援者となることもある。

ウ 法定後見にともなう行為能力制限のリスクの排除
任意後見においては本人自らも契約などの法律行為が可能である。

5 成年後見に要する概算費用

(1)法定後見申立費用

  申立手数料 1件につき   800円
  登記手数料        2600円
  予納郵便料       約4000円
   小計         約7400円

  鑑定費用     2万円から10万円
  各種証明書料
   申立て費用は原則申立人が負担

(2)任意後見契約締結費用(移行型契約書横書き13枚と仮定)
  公証人費用
     原本(2行為)      2万2000円
     超過枚数           2250円(1枚250円)
     正本(2通)         6500円(1枚250円)
     謄本(1通)         3250円(1枚250円)
     登記手数料          1400円

  登記印紙           2600円

  書留郵便           約540円
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   合計            約3万8500円

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